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第1回 擁壁について
第2回 地盤調査について
第3回 盛土の効果とその影響を考える
第4回 地盤の基礎知識
第5回 近日公開予定
注意事項 |
地盤シグナルの内容は、地盤総合管理センターが調査した内容を元に編集されています。記述される内容は、地盤総合管理センターの主観であり、特定の敷地や地盤状況を示す物ではありません。また如何なる、設計又は考察の判定に対する影響を考慮した物ではありません。
本文の内容の引用は堅くお断りいたします。
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第4回 地盤の基礎知識
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地盤調査を行った場合、ほとんどの調査会社では地盤調査報告書を作成します。
しかし調査の特性上、どうしても専門用語が多くなりがちです。
そもそも地面の何を調査したの?
そんな疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
地盤シグナル 第4回は <地盤の基礎知識> について少しお話をしたいと思います。
お手元の調査報告書をご覧になる際に、こちらの解説や用語集が少しでもお役に立てれば幸いです。
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【目次】 項目をクリックすると該当部をご覧いただけます。
- その土地の<地盤の特徴>を調べ・理解し、建物の安全の為に必要な情報を
収集・確認する事それが<地盤調査>で、その結果が<調査報告書や考察>です。
- 建設予定地の<地形・地質(土質)> 等を考慮し、その土地の現状を理解し
総合的な判断を行う事が、建物の安全を確保するには重要です
- さまざまな調査結果の集積が、現状地盤の有する能力を見極める為には重要ですが
調査項目は、現状に適合した内容であるべきです。
- 実際に一番考慮するべき内容は基礎直下地盤である事を理解する事が重要
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- その土地の<地盤の特徴>を調べ・理解し、建物の安全の為に必要な情報を
収集・確認する事それが<地盤調査>で、その結果が<調査報告書や考察>です。
地盤調査は、現状の地盤状況に対して
本来調査地が有しているべき地盤性能の有無を確認し、
<予定される建物を安全に建築する為に必要とされる内容を検証する>事を
目的としています。
地盤調査結果を正しく理解する為にも
<地盤>の性質を理解する事は必要不可欠な事と言えます。
そもそも<地盤>とは何でしょうか?
地盤というものは、かなり大まかにいうと
<地形> と <地質(土質)> 等から構成されています。
地域的な特徴である<地形> と 土の種別や成分からなる<地質(土質)>です。
調査・解析を行う人間が 地盤の建物への影響を調査・考察する時、
この<地形>と<地質>の性質を正しく把握・理解する事がとても重要だと言えます。
しかし、以前も取り上げましたが
近年の造成技術の進歩や生活環境を優先した大規模な整地造成の結果
本来の<地形>や<地質>について 本来の状況と一致しない事例が多くなっているのも事実です。
それは造成の目的が、土地そのものをより生活環境優先へと作り変える事であり、上記の事例もそのひとつの結果であるからです。
その土地が、安全の為には何か対策が必要だと判断された場合は
<地盤改良工事>や<基礎補強工事> 等の対策工事により
地盤が建物に与える影響を可能な限り少なくするようにするという事が、
現代の地盤改良・基礎補強等の基本的な考え方ですが
それらを効果的に行う為には、その土地(敷地)ごとの状況に合わせた
詳細な検討が必要なのです。
ですから、それらの造成の影響を考慮した上で地盤調査を行い
建物への影響を配慮し、適切な対応・情報収集を行う事が調査を行う者にとって
必要な事だと言えます。
調査において得られた情報を精査し、建物の安全を確保するのに
最善の方法は何かを検討し、提案した内容が書かれたものが、調査報告書の<考察>等と呼ばれるものです。これが調査報告書の内容を理解する際にもっとも重要なものです。
地形図などの資料や現地調査で得られた複数の数値データなどを元に<考察>が
作られ、設計や施工を行う際に土地の現状を把握するための資料として使われるのです。
- 建設予定地の<地形・地質(土質)> 等を考慮し、その土地の現状を理解し
総合的な判断を行う事が、建物の安全を確保するには重要です
地盤について学ぶ場合、大体の教本は 地球誕生から現代までの地盤や地形・地質の変化について触れています。
それを全て上げると、膨大な文章になりますし スケールが大きすぎて
実際の事例とすり合わせるのが大変ですから、あくまで基礎知識として簡単にまとめますと
地球において我々が地面と呼んでいる部分は、長い歴史のなかでずっと変化し続けています。
その変化とは、様々な地殻変動や 火山の噴火や風によって、火山灰や溶岩等が長距離を移動し、堆積し、雨によって冷やされ、流され、海や河川の流れにより浸食され、運ばれ、堆積する等の事象です。
それこそ気の遠くなるような長期間に渡り繰り返された変化の結果、形成されたのが
<地形>です。

そして変化は地形以外の<地質(土質)>にも表れます。
火山灰の積もった場所や、河川の氾濫の影響を強く受けている場所、沼や池、河川跡
造成や干拓・埋め立てなど人為的な変化も含めればきりがありません。
これらの地形や地質には、その特徴から個別の名称が付けられています。
しかし、通常の生活環境下で地形の変化について「ここからが台地でここからは丘陵地だ」と、はっきりとした境界線の様な物が確認されることはほとんどありません。
その中で、地形の変化の基準として注視されるものに、河川があります。
山岳地帯に位置する河川(上流地域)の川幅は狭く流れは急です。
水流も速く岩石も浸食され、川下に運ばれます。
丘陵地では川幅はやや広さを増し、流れも比較的穏やかになります。
浸食され流されてきた岩石は、重い物から沈殿していきます。
平地部では川幅は広く、流れはとても緩やかになります。
そして最終的には、海に流れ着きます。
地質においては、その成り立ちには幾つかの法則があると言われています。
簡単に説明すると、
<新しい地層は古い地層の上にあり、下層に対して水平に堆積する> 傾向があり
地層が形成された時期が、<昔に堆積した物ほど堅強で、新しいほど軟弱>であり
地域的に<標高が高い方が堅強で、標高が低い方が軟弱な傾向がある。>
全ての場合がこれらに合致する事はありませんが、的外れではないと思います。
社会科や地理の授業で学んだと思いますが、太古の昔より幾つもの火山の噴火や地殻変動が発生し、気候面でも氷河期のような時代が繰り返しおきています。
海岸線や地表は、今とは全く違う状態であったと考えられていますし
学術的な調査でも、それは証明されています。
現在は海に面していない内陸部でも、かつて海であった形跡が各地に確認される様に
海岸線やそれに関係した河川の状況も、今の状態とは大きく異なっているにも関わらず、地形や地質への様々な影響を現状へもたらしています。
しかし、序盤でも説明をいたしましたが 現況の土地の造成技術の発展は目覚ましく
大規模な埋め立て・河川改修・斜面の平坦化等により、既存の土地をより、人が住みやすい環境・生活しやすい地形・土質に変える事が行われています。
現在では、これらの造成工事が行われて居ない敷地のほうが希少傾向にあり特に人工密集地や都市部では、目視での観測で地域的な地形・地質との関係性を完全に掌握する事は難しくなってきています。
そのような理由で「一見同じように見える地面も、実際は土地ごとに個性がある」ということになるのです。
- さまざまな調査結果の集積が、現状地盤の有する能力を見極める為には重要ですが
調査項目は、現状に適合した内容であるべきです。
地盤調査では、調査敷地の地形・地質等の情報を確認し、建築予定地で、実際の地盤の傾斜・造成状況を確認します。
建築物に合わせた複数の箇所で調査機器による測定を行い、情報を収集することで既存の情報との整合性を確認するという事が重要です。
その為、建築予定地の状況が不明瞭な場合は過去の敷地状況や近隣の造成状況等も参考にする必要があります。
近隣で行われた地盤調査やボーリング調査の結果等も有効な情報です。
航空写真や昔から敷地の状況を知る、近隣にお住まいの方に話を聞くことも敷地の現状を調べる上で、大変重要な資料となります。
状況によっては、調査方法を変更する事もあります。
追加調査として、<土質試験>や<地耐力測定>が必要となる場合もあります。
なぜ、そんなにたくさんの情報を集める必要があるのか?というと
建物の安全を確保する上で必要になる情報を、決められた調査時間の中で少しでも多く収集したいという部分と、調査結果によっては、地盤改良工事や基礎補強工事が必要な場合と
それらが必要無い場合が存在する為、少しでも多くの判断材料が必要である事が 影響しています。
建築予定の建物の規模や形状も当然、調査結果に対する影響力は大きいと言えます。
以前の記事でも述べましたが建物の形状や規模・敷地の造成や整地等は、地盤が建物を安全に支える事を前提として行われている事は少なく、間取りなどの生活環境を優先した内容である事が多く見られます。
建物の安全を優先する上では地盤調査結果の意味を理解し・必要とされる対策は何なのかと考える事が不可欠と言えるのではないでしょうか
調査や解析を行う人間が忘れてはならない事は、あらゆる情報が調査・解析の際に意味を持つ旨を先に述べましたが特定の情報に固執して、全体の判断を見誤る事がないようにしなければならないという事です。
<地盤> が幾つもの内容から構成された物である事から考えても、正しい考察とは言えません。
危険性の排除の観点からも適切とは、言えないのではないでしょうか。
例えば、経験上<標高が高い方が堅強で、標高が低い方が軟弱な傾向がある。>
ゆえに調査敷地が<台地部>に位置する事に固執し地面の表層部分の<新規盛土>や<擁壁造成>の影響を軽視する事。
全ての低地部に位置する敷地は、必ず地盤補強や基礎補強が必要だと思い込み現在の敷地の状況や建築する建物の規模や建物の形状等を問わず一律に同じような判定を下すことも地盤調査の結果を詳細に検討する事を軽視した行為と言えます。
又、低地部に位置する敷地は、人為的な要素が含まれる事が多い為
調査・確認が必要な要因も多岐にわたります。
その為、幾つもの観点からより総合的な判断を行う必要性があります。
敷地の状況により、有効とされる手段もまた異なるからです。
その為に詳細な調査・情報収集を行います。
上記の例はいずれも、収集した情報を読み間違っている又は、考え違いをしていると言えます。
この辺は大体こうだから…という経験則だけではなく、その敷地はどのようにして
現状の状態になっているのかという事をふまえて、データを読み解くことが
必要だと思います。
- 実際に一番考慮するべき内容は 基礎直下地盤 である事を理解する事が重要
これまで、地盤とは?地形とは?という部分を簡単に説明いたしました。
安全という面を重視して考えた時に、無視できないとても重要なものであると感じていただけたら幸いです。
しかし、地盤を理解し地層や土質・地形を掌握しても「これで安全です」とは言えないのです。
ここまで挙げてきた部分は、調査において土地を構成する大きな要素の一つであるという事で、その土地の全てではありません。
土地の中でも、<実際に建物を建てるその部分> 建物の基礎直下の地盤の安全性調査において、これが最重要であるという事は言うまでもありません。
その敷地が盛土された地盤ならば、盛土地盤の安定を最初に考慮しないと建物の安全は確保できません。
その場所が、地域的に安定した傾向にある<地盤や土質>だったとしてもその安定した地盤の上に 30cmの盛土があれば、その盛土の影響を無視する事は とても危険な事だと言えます。
少し大きな樹木を、掘根した跡を埋め戻した箇所が不同沈下の原因となりうる事を当然考慮するべきだと考えます。
ましてや、道路や隣地との境界線上に<擁壁> や<土留め>等の高低差がある場合は 建物への影響を考慮する事は、地盤調査・解析の上では必然です。
実際の不同沈下事故の大部分は、人工的な造成に関係した要因が関与しています。
特に <擁壁> に関係した不同沈下事故が多い現状からは、最も注視し慎重な判断が必要とされると言えます。
地盤調査では、<盛土>や<擁壁等>の基礎に距離的に近い内容の物から長い時間を経て構成された 基礎から距離が離れている<地盤>の両方を考慮した判断が必要とされるのです。
長々と説明をいたしましたが、家を建てようとしている土地は、どのような地形・地質(土質)にあてはまるでしょうか?
そう問われたときに、すぐに答える事が出来る人はそんなに多くないと思います。
これまで、挙げたように地域・標高差・海抜・緯度・経度・年代・時間経過・造成歴等さまざまな要因が、土地ごとに複雑にからんできます。
それらを完全に識別し線引きする事はなかなかに困難な事だからです。
国土交通省が管轄する団体の一つに<国土地理院>というものがあります。
そこで、地形図などの膨大な資料をインターネットなどで公開していますので昔と比べれば、個人の能力である程度調べる事も不可能ではありません。
しかし、解析や判断に前述のように ある程度の知識と経験が必要な上その資料の多さから、なかなか骨の折れる事であるのは間違いないと思います。
現在の地盤調査報告書には地形図・地質図等の情報を添付する事が常識的になりつつあります。
判断の基準となる資料を明確に提示することにより考察における解析判定の根拠とする為です。
現地調査で得られる、換算N値以外にも注視するべき情報で有ることは間違いありません。
繰り返しますが、重要なのはそれらの資料から得た情報を総合的に判断する事です。
- 一方的に与えられた資料だけ、根拠も裏付けもない偏った情報を鵜呑みにする。
- 経験則のみを判断の拠り所とし、盲信する。
- 利益(コスト)に直結する情報をのみを重視する。
いずれも、大きな間違いです。
建物の安全の為に、有効な対策を様々な情報から判断する事が重要であり地盤調査報告書は、その為に存在すると我々は考えます。
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