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第1回 擁壁について
第2回 地盤調査について
第3回 盛土の効果とその影響を考える
第4回 地盤の基礎知識
第5回 近日公開予定
注意事項 |
地盤シグナルの内容は、地盤総合管理センターが調査した内容を元に編集されています。記述される内容は、地盤総合管理センターの主観であり、特定の敷地や地盤状況を示す物ではありません。また如何なる、設計又は考察の判定に対する影響を考慮した物ではありません。
本文の内容の引用は堅くお断りいたします。
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第3回 盛土の効果とその影響を考える
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【目次】 項目をクリックすると該当部をご覧いただけます。
- 盛土の効果とその影響を考える
- 盛土造成工事に置ける良質な土と瓦礫の関係
- 盛土は造成される過程において空隙と収縮の2つの影響を考慮する事が必要となる
- 盛土の影響は造成後に時間をおいて発生する場合が多く盛土層と盛土下部地盤両方の安定が必要です。
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- 盛土の効果とその影響を考える
盛土は敷地の造成方法として使用される造成方法の一種であり、現状地盤面の高さの調整や、 敷地の外観を均一的な様相と見せる事に絶大な効果があります。
施工も簡単だと思われがちです。
まず、この効果について考えると 盛土により地盤面を高くすることは
周辺からの降雨の影響を受けにくく、傾斜地の平坦化にも大変有効だと言えます。
外観的には、庭の表面が均一の土壌で覆われるのですから見た目は大変良好だと言えます。
ここで考慮するべき内容は、盛土造成自体が建物に与える影響について考え
盛土造成または盛土そのものが建物に不同沈下を発生させる要因となる事を理解する事が重要だと言えます。
簡潔に言ってしまうと、盛土は[ 見せたくない物を隠すには最高の手段である ]という事です。
すなわち、盛土の下部または盛土の土中に何が隠れていても、外観から判断する事は困難な場合が多く確認されます。盛土造成終了後は 通常の生活環境では、家庭菜園等で、庭の土を、30cmから50cm程度の掘削により庭に植物を植える事が可能で、深い掘削を必要とする大きな樹木は、通常の家庭の庭では 生活環境や敷地の利用方法等からも、あまり見かける事はありません。
これ以外にも、通常の生活の範囲で自分の敷地に深い穴を掘る必要性は殆ど無いと言えます。
昔は植栽の保管を目的とした物等で、ある程度の掘削は行われていましたが
住宅事情の変化により、掘削の必要性が失われつつあると言えます。
自分の住む家の側では、これらの掘削を行う事は基本的にはありません。
それは掘削した穴が、建物に対して影響をあたることが考慮された結果とも言えます。
盛土造成完了後、建物が建築されてしまえば建物下部においては
現実的な生活環境では直接目視する事が出来ず、盛土造成の内容を確認する事が困難
であるという前提の為 地盤面の高さや目視での効果が優先され、盛土造成に関係した
建物を不同沈下させる要因に対する対策が軽視される事が懸念されます。
見た目の効果は確認できても、建築後に建物に不同沈下が発生するかどうかは
盛土造成時点では[わからない]のも事実であり、盛土造成したから必ず不同沈下が発生するとも限りません。
盛土には[必要とされる地面としての能力]が要求されます。
その内容は、建物を長期間安定して支える能力と言えます。
地面として必要とされる能力が整わない状態でも、敷地として必要とされる地盤面の高さ や、目視できる外観を形成する事が可能な造成が盛土造成としては可能であり
建物を安定して支える能力を有する盛土造成を行うには詳細な検討が必要とされます。
- 盛土造成工事に置ける良質な土と瓦礫の関係
盛土造成を行う場合は、その完成した造成状態が求められる形状であり
地中障害の有無は、造成的には考慮しなくても盛土造成は完成した形状と生り得る事があります。
地中障害を取り除く作業は、掘削や地中障害物の破壊や粉砕等を必要とし
大規模な建物跡の場合は、基礎や地下室が地中障害物として残されている場合もあります。これらを撤去すれば[撤去費用/運び出し費用/運搬費用/]などの処理費用が発生し、
しかも作業に必要とされる機械や資格は、盛土造成とはほとんど共通性の無い内容の物も含まれます。
施工時間も必要とされ、さらには地中障害物その物を撤去する事が困難な物まであります。
これは、建築時は撤去の事まで考えて施工された物ではないのですから
当然の結果と言えます。
仮に全部の撤去作業が完了したとしても、撤去された分盛土に必要な土は増える事に
なりますから、それだけでも大変な負担増加となります。
これらの作業を行えば
金額的にも時間的にも大変な負担増加につながります。
ですが、地中障害をそのまま埋めてしまったらこれらの地中埋設物対策費用と時間は
理論上は必要ない事になります。
盛土に使用する土に関係しても、地中埋設物や建物解体で発生した瓦礫は
その処理に費用を要し、産業廃棄物として処理されるべき内容の物が多く確認されます。
しかし、盛土に使用すべき土は良質な品質の物を購入した上で運搬するコストも必要となります。
盛土に必要とされる良質な土と解体等で発生した瓦礫等では共通する内容の品質は殆どありません。 しかし土量として考えると、良質な土と瓦礫は混ぜ合わせる事が可能です。
この事から、盛土に必要とされる土量を確保する手段として使用される事により
不同沈下の原因の一部となる可能性があると言えます。
盛土には盛土として必要とされる安全性があり、安全性が確保される為には
適切な各種品質が存在します。
盛土自体にも土としての性質があります。
予定される建物荷重に対して、安定した性能が必要とされます。
そのためには盛土に適合した土の種類を選択し、選択した土に適した
造成方法が必要となります。
また必要とされる安定期に達する時間も、土の種類や造成方法により大きく異なります。
ここで重要となるのは性能をコントロールする事にあります。
必要とされる造成方法で造成を行い、行った造成の結果から必要とされる安定期までの時間を 確保する。
さらに造成完了後の性能を確認する必要性から、地盤調査を行う事が必要になると言えます。
盛土造成において、必要とされる性能を確保する為にはこれらの作業は必要不可欠であり、 瓦礫が混入した場合は根本的に盛土として必要とされる性能は確保できないと言えます。
瓦礫は、元来の性能を有していた状態ではなく[破壊/粉砕]された結果の発生物であり
土としての性能は当然ありません。
土としての性能を考慮した方法により作りだされた生産物ではありません。
ましてや、土との混合は質量的な意味合い以外何の効力もなく土の性能を向上させる効果は ありません。
瓦礫個々の硬質性は、土より硬質であるとしても盛土に要求されるのは地面としての
性能であり個別の硬さではありません。
すなわち瓦礫は、盛土には適合性が極めて乏しく通常の盛土造成では
瓦礫が関係した盛土は、瓦礫が含まれる事による危険性を排除する事が困難であると言えます。
盛土の自重の観点からも単一の土で構成された盛土の自重に対し、
瓦礫が含まれる盛土の自重は、瓦礫自体が混入する事で盛土内の自重が不均等に
なる事が予測されます。
瓦礫の混入は、盛土内に多くの空隙が発生する原因になり盛土下部地盤に与える影響も不均等となります。
盛土としての性能を管理する事が困難な物は、当然盛土には含まれるべきではなく
盛土には必要ない要因だと言えます。
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盛土は造成される過程において空隙と収縮の2つの影響を考慮する事が必要となる
盛土はその造成方法において、必ず盛土内における空隙と収縮の影響を考慮した安全対策を 行う事が必要とされます。
空隙と収縮は、盛土に使用される土質や造成方法・造成後の経過年数等との
関係が考慮されるべきであり、先に述べた瓦礫等は盛土に不適合な材質です。
瓦礫を含んだ盛土の安定は、地盤調査結果特に換算N値等では掌握する事が困難であり、 盛土の経過年数との関係性も確実性のある経過年数を考慮する事は困難だと言えます。
更に空隙は、瓦礫に影響される場合が多く瓦礫により空隙の規模が大きくなることが実際の 造成では報告されています。
これらは適合性を欠く材料の使用による物であり、盛土に瓦礫が確認された場合は盛土から瓦礫を取り除き再度造成を行うか、盛土自体の安定性を考慮せず何らかの補強により建物が盛土の影響を受けない様にする事が、必要とされます。
盛土の収縮は、盛土に使用される土質に大きく関係しています。
通常では盛土に使用された土質が砂質土であれば3年、
粘性土であれば5年を目安としていますが、これはあくまでも目安であり
実際は地盤調査等による確認が必要とされる内容だと言えます。
「砂質土で盛土したから、3年たったら大丈夫」では無いと、理解したほうが賢明だと言えます。
造成状況の格差は、収縮にも大きな影響を与える事があり
傾斜地の造成であれば、砂質土は降雨の影響により表層が流失する可能性もあり
盛土自体の層厚が3年間で変化してしまう可能性も危惧されます。
粘性土は、造成時に使用される施工用の機材特に転圧作業を行う
機材及び造成方法により盛土層の転圧の効果は様々で、盛土層厚に適合した施工方法が必要と なります。
施工方法が適切でなければ、5年経過時点でも安定する事は難しいと言えます。
いかなる造成方法であれ、空隙と収縮の問題を完全に解消する事は困難な場合が
多く、実際に地盤調査を行いその内容を検証し実際の建物に適合した安全対策を
行う事が必要だと言えます。
- 盛土の影響は造成後に時間をおいて発生する場合が多く盛土層と盛土下部地盤両方の安定が必要です。
盛土造成はその盛土された土の自重、盛土の関係した擁壁等の自重
そして建築された建物の自重すべてが盛土下部地盤に影響を与える可能性が
有る事を考慮し、盛土下部地盤の安全を考慮する事が必要となります。
盛土自体は、直接建物荷重の影響を受ける事になり当然建物荷重に対して
安全な状態にあることが必要とされます。
盛土の安定を確保しても、建物や盛土等の自重は盛土下部地盤へ影響を与える事になり盛土下部地盤が建物と盛土等の自重に対して安全な状態でなければ、
当然建物と盛土は沈下する可能性が高いと言えます。
盛土造成は、建物の基礎直下の盛土と盛土の直下地盤の両方の安定が必要とされ、
どちらの地盤も、時間の経過により地盤が変形する事を予測し有効な対策を両方の地盤に行う事が必要とされます。
地盤が時間の経過に伴い変形する事は、様々な外力との関係や地盤自体の性質
土の性質にも大きく影響される事であり、確実な変形の予測は施工状況や
行える調査の規模等を考慮すると、困難な場合が多いと言えます。
盛土造成後に時間の経過に伴う、盛土地盤の変形と盛土下部地盤の変形は
盛土地盤の変形が沈静化した後に下部地盤の変形が始まるのでは、無く
変形の進行具合と変形の大きさは不規則であり、一旦沈静化しても再度発生する事も
あります。
造成後5年後に建物の不同沈下が発生した事例や、建築直後から計測された沈下が
その後2年程度で沈静化し、2年後に再沈下が計測された事例もあります。
盛土地盤の変形でも建物の不同沈下は発生しますし、
盛土地盤の変形が無くても、盛土下部地盤の変形が主な要因となる不同沈下は発生します。
両方の地盤が変形しても当然、建物は不同沈下を起こす事になります。
盛土地盤のみを対象とした対策を行うのではなく、盛土下部地盤の安全を含めた総合的な地盤対策が必要とされます。
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